エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「そうなのか?」
「うん! だって、おじさんはおいしいケーキを食べさせてくれた! いい人だもん!」

 彼女にはすっかり、“おいしいケーキのおじさん”として認識されているらしい。
 愛する女性の子どもからそう呼ばれることになんとも言えないむず痒さをいだきながら、少女の頭を優しく撫でつけてやる。

「それは何よりだ」
「またおいしいケーキ、食べさせてくれる?」
「ああ」
「やったー!」

 涼花は僕の膝から両手を離すと、ぴょんぴょんと飛び跳ねて大喜びする。
 そのあと、遠くで誠と手を繋いでこちらに訝しげな視線を向けていた兄へ大声で報告する。

「つかさ! おいしいケーキ、食べてもいいって!」
「りょうか、駄目だよ……。ママに、怒られる……」
「ただし。保護者がいいと、言った場合に限るが……」
「ごーしゃー?」

 僕は司と手を繋ぐ、誠の様子を窺う。
 彼は露骨に嫌そうな顔をしながら、こちらと目を合わせないように視線を逸らしていた。

「この子達と一体、どういう関係なんだ?」
「子ども達の前で、立ったままするような話でもねぇだろ」
「それもそうだな」

 彼は心底嫌で仕方ないと言わんばかりに吐き捨てて来たが、誠の言い分も一理ある。
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