エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「詳しいことは、オレもよく知らねぇよ。身寄りがない身重の澄花さんを気の毒に思った母さんがうちで暮らすように告げて、今に至る。それだけだ」
「一体、いつから……」
「6年くらい前からじゃねぇの?」

 その話を聞いて、愕然とした。
 彼女が何も言わずに姿を消した時期と、一致していたからだ。

 ――僕達は別れる前、肌を重ねている。
 避妊はしなかった。
 子宝に恵まれれば、澄花を自分のものにできる。
 子ども達の父親としても一緒にいられるし、両親も許嫁との結婚を強要して来ないだろうと判断したのだ。

「やはり、この子達は……」
「普段の冷静沈着な純司兄ちゃんはどこに行ったんだよ。まさか、自分が双子の父親とでも言うつもりか?」

 誠からは今さら父親ヅラするなと遠回しに釘を刺されたが、その可能性に気づいてしまったら無視をするわけにはいかない。

 ――ここでその事実を認めたところで、双子と澄花が自分を父親だと受け入れてくれる可能性は低い。

『夫に、養育費を請求したいんです』

 この相談内容を素直に受け取るなら、彼女は養育費さえ回収できればいいと思っているからだ。
 それでも――。
< 83 / 162 >

この作品をシェア

pagetop