エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「ぼく……。悪いこと、した……?」
「い、いや……。司に言ったわけじゃなくてだな……」
「ママにバレたら、怒られるようなことをした、ぼくがいけないんだ……!」

 母親の言いつけを守るべきだと思い詰めていた司は、自分が怒られていると勘違いしたらしい。
 声を押し殺して泣き出す姿を目にした妹は、フォークを皿の上に置いてから涙目で誠に訴えかける。

「なんで、つかさを怒るの!? 悪いのは、りょうかでしょ!?」
「お、落ち着けって。大丈夫だから。な?」
「りょうかとつかさは、悪くないもん……!」

 スカートの裾を握りしめた彼女まで、触発されるようにわんわんと大泣きし始めてしまった。
 こうなってしまえば、2人が涙を止めるまでは収拾がつかない。
 僕達は双子が落ち着くまで、背中を優しく撫でつけてやるのが精一杯だった。

「こいつらは、ずっとこうなんだよ。仲良く遊んでるなって安心してたら、すぐに喧嘩をしたり大泣きをしたりする。精神的に、不安定なんだ」
「父親が、いないからか」
「それもあるだろうけどな……。一番は、澄花さんに余裕がないせいだろ。何せ、母さんと四六時中一緒だからな。いくら付き合いが長いとは言え、気疲れしちまう」

 澄花は身寄りがなく、頼れる人がいなかった。
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