すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「……柴崎、さん」
どうして彼がここにいるのか事態がのみ込めず、頭が真っ白になる。
「悠里」
私より先に我に返った彼が、戸惑いがちにこちらに近づく。手渡されたぬいぐるみは、条件反射で受け取った。その際に、彼の視線が私の左手に向けられる。まるで指輪の有無を確認するようなその様子に、まずいと焦りが募った。
「君のことを、ずっと捜していた」
そう言いながら、彼は視線を私と光太の間を往復させた。
どうして私を捜していたのか。そんな疑問を抱く一方で、光太を見られてはいけないと気づいて焦る。
「光太。ほら、ねっ。ぬいぐるみだよ」
彼に背を向けて、必死に光太をあやす。
けれど私の焦りが伝わるのか、一向に泣き止む気配がない。
「お願い、光太」
どんどん追い詰められていくようで涙が滲み、声が震えてしまう。
「悠里」
肩に手を置かれて、ビクッと体が跳ねた。
「ご、ごめんなさい。私、用が……」
とにかくこの場から逃げ出したい。
「待って」
彼の方を振り向かないまま無理やり歩きだそうとしたところ、腕を掴んで止められてしまった。
「そんな状態では、危ないから」
彼の視線が光太に向けられる。この子の存在に最初は驚いていたようだが、今は柴崎さんらしい冷静な表情でいる。
大丈夫。私がなにも言わなければ、光太が彼の子だなんてわかるはずがない。自身にそう言い聞かせながら、なんとか落ち着こうと密かに深く息を吸った。
さすがに疲れてきたのか、光太の泣き声が弱々しくなる。もう全力で体を反らせてはいない。
それに少しほっとして、冷静とまではいかないが周囲を見る余裕は出てきた。ポンポンと背中を叩いてやると、光太は眠そうな顔をし始めた。
どうして彼がここにいるのか事態がのみ込めず、頭が真っ白になる。
「悠里」
私より先に我に返った彼が、戸惑いがちにこちらに近づく。手渡されたぬいぐるみは、条件反射で受け取った。その際に、彼の視線が私の左手に向けられる。まるで指輪の有無を確認するようなその様子に、まずいと焦りが募った。
「君のことを、ずっと捜していた」
そう言いながら、彼は視線を私と光太の間を往復させた。
どうして私を捜していたのか。そんな疑問を抱く一方で、光太を見られてはいけないと気づいて焦る。
「光太。ほら、ねっ。ぬいぐるみだよ」
彼に背を向けて、必死に光太をあやす。
けれど私の焦りが伝わるのか、一向に泣き止む気配がない。
「お願い、光太」
どんどん追い詰められていくようで涙が滲み、声が震えてしまう。
「悠里」
肩に手を置かれて、ビクッと体が跳ねた。
「ご、ごめんなさい。私、用が……」
とにかくこの場から逃げ出したい。
「待って」
彼の方を振り向かないまま無理やり歩きだそうとしたところ、腕を掴んで止められてしまった。
「そんな状態では、危ないから」
彼の視線が光太に向けられる。この子の存在に最初は驚いていたようだが、今は柴崎さんらしい冷静な表情でいる。
大丈夫。私がなにも言わなければ、光太が彼の子だなんてわかるはずがない。自身にそう言い聞かせながら、なんとか落ち着こうと密かに深く息を吸った。
さすがに疲れてきたのか、光太の泣き声が弱々しくなる。もう全力で体を反らせてはいない。
それに少しほっとして、冷静とまではいかないが周囲を見る余裕は出てきた。ポンポンと背中を叩いてやると、光太は眠そうな顔をし始めた。