すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
 結局、彼の家庭についてはなにも聞けなかった。

 愛していると言われたときはびっくりしたけれど、それももう過去の話なのだろう。彼の性格なら、私の初めてを奪った責任とか父への恩義とか、そんなことを考えていそうだ。

「私を気遣う必要なんて、もうないのに」

 彼とはもう関わらない方がいい。
 そうわかっているのに、光太を寝かしつけたタイミングで柴崎さんメッセージが届いたことで胸が疼く。

【今日は来てくれてありがとう。光太君はもう眠っているだろうか】

【こちらこそ、ごちそうさまでした。叔母に預けている間もいい子で過ごしていたようで、今はもう寝ています】

 家事を片づけて、そろそろ寝ようと光太の隣に横たわる。
 体は疲れているはずなのに、目を閉じても柴崎さんのことばかり考えてしまいなかなか眠れないでいた。



< 112 / 183 >

この作品をシェア

pagetop