すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「それで? プレゼントを贈ってきたくらいだもの、なにか進展はあったの?」

 叔母が興味本位で聞いているわけではないことくらい、私もわかっている。彼女にはずっと心配をかけ続けてきたし、今も私が傷つかないように守ろうとしてくれている。

「進展はない、かな」

 昨夜のやりとりを整理しながら、ゆっくりと話し始める。

「その、彼は伝え損ねていただけで、私を愛していたって」

「あら、素敵じゃない」

 そう言いつつ叔母は「常日頃から愛をささやいている、セルジオを見習うべきとは思うけれど」と加えた。

「で、でも、あくまであのときはってことよ。だって彼には……」

「家庭があるって?」

 首を小さく横に振る。

「上手く聞けなくて。光太のことも明かしていないし」

 昨夜の私は、彼と顔を合わせるだけで精いっぱいだった。
 柴崎さんとしては、聞きたいこことがたくさんあっただろう。でも落ち着かない様子の私を前にして、無理強いせずに合わせてくれたのだと思う。

「また、連絡するって言われて」

「そのひとつが、あのプレゼントってわけね」

 うんうんと、叔母がうなずく。

「メッセージも送られてきて」

 昨夜だけでなく、今朝も届いている。

【悠里の顔を見られるだけでいい。時間のある時は、必ず会いに行く】

 そんな内容に、やめてほしいとは言いづらくてなにも返せなかった。

「意外と健気な人じゃない。悪い人には思えないわね」

 だから私も困っている。
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