すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「そもそも俺が渡米したのは、会社の役員のひとりでもある、叔父の失態をリカバリーするためだ。彼の振る舞いで取引先を怒らせてしまい、その解決のために奔走していた」
しばらく落ち着かないと話していたのは、これが理由だったようだ。
「そこで、相手方の社長の娘と顔を合わせる機会があったんだ。彼女は俺をいたく気に入ったようで、交渉の場へ行くたびに同席していた。しまいには娘との婚約に応じるならことを修めようとまで言われて。もちろん、その場で断っているが」
私が読んだ記事と事実は、少し違っているようだ。
「外堀を埋めようとしたんだろうな。娘の方は自身の知名度を生かして、いかにも結婚が決まったかのようにいろんな場で話していたようだ。こちらの否定も追いつかない状態だった」
「でも、それを断わったら柴崎さんの会社は困るんじゃあ……」
「渡米前から頭にはあったが、それに以上にメリットのある企業と提携できるように動いていた」
さらに合間で、パイロットのライセンスを維持するために必要な時間だけシミュレーターで訓練を行ったり身体検査を受けたりしていたのだという。
彼は私が想像していた以上に大変な状況にあったのかもしれない。
「とにかく、俺が婚約した事実はない。もちろん、結婚もだ。向こうとはきっぱり話がついている」
疑いを抱かせないほどすっぱりと言い切られて、体から力が抜ける。
「じゃあ……」
「あのときの記事のせいで、悠里を勘違いさせていたのか?」
微かに顎を引いて肯定する。
彼がゴシップ記事の内容を否定しようにも、すでに私とは連絡がつかなくなっていただろう。
「すまない。俺にもっと余裕があったら……」
でも私が彼のもとを逃げ出したのは、それが直接の原因じゃない。
「悠里。俺にもう一度チャンスをくれないか? 俺は今でも君を愛しているんだ」
驚きに目を見開く。
喜びに胸が震えたのは一瞬で、私はそれに応えられないとすぐに首を横に振った。
しばらく落ち着かないと話していたのは、これが理由だったようだ。
「そこで、相手方の社長の娘と顔を合わせる機会があったんだ。彼女は俺をいたく気に入ったようで、交渉の場へ行くたびに同席していた。しまいには娘との婚約に応じるならことを修めようとまで言われて。もちろん、その場で断っているが」
私が読んだ記事と事実は、少し違っているようだ。
「外堀を埋めようとしたんだろうな。娘の方は自身の知名度を生かして、いかにも結婚が決まったかのようにいろんな場で話していたようだ。こちらの否定も追いつかない状態だった」
「でも、それを断わったら柴崎さんの会社は困るんじゃあ……」
「渡米前から頭にはあったが、それに以上にメリットのある企業と提携できるように動いていた」
さらに合間で、パイロットのライセンスを維持するために必要な時間だけシミュレーターで訓練を行ったり身体検査を受けたりしていたのだという。
彼は私が想像していた以上に大変な状況にあったのかもしれない。
「とにかく、俺が婚約した事実はない。もちろん、結婚もだ。向こうとはきっぱり話がついている」
疑いを抱かせないほどすっぱりと言い切られて、体から力が抜ける。
「じゃあ……」
「あのときの記事のせいで、悠里を勘違いさせていたのか?」
微かに顎を引いて肯定する。
彼がゴシップ記事の内容を否定しようにも、すでに私とは連絡がつかなくなっていただろう。
「すまない。俺にもっと余裕があったら……」
でも私が彼のもとを逃げ出したのは、それが直接の原因じゃない。
「悠里。俺にもう一度チャンスをくれないか? 俺は今でも君を愛しているんだ」
驚きに目を見開く。
喜びに胸が震えたのは一瞬で、私はそれに応えられないとすぐに首を横に振った。