すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
 それからも柴崎さんは頻繁に連絡をくれて、毎日欠かさずプレゼントを贈ってきた。
 彼もなかなか多忙なようだけど、短時間でもわざわざ足を運んで会いに来てくれる。

 彼が光太を抱いて家まで送ってくれてから四日後。午後から時間があると言う彼に合わせて、この日は休みを取ることにした。

 玄関のチャイムが鳴り、光太を抱き上げて向かう。

「悠里。招いてくれて、ありがとう」

「本当なら、どこかで食事をしながらお話しできればよかったけど」

 まだ幼い光太もいるから、うちに来てもらった方が私としては助かる。

「いいや。こうして招いてもらえて、うれしいよ。光太君、こんにちは」

「ん、ん」

 柴崎さんが顔を覗き込むと、人懐っこい光太は腕を伸ばして抱っこを強請った。

「ほら、おいで」

 抱き上げられた光太が、ご機嫌な顔をする。

「たお!」

「あっ」

 光太が〝チャオ〟と挨拶をしたら、次にとる行動は決まっている。
 止めようと動いた私より早く、光太が柴崎さんの頬に口づけた。

「おっと」

 驚いた顔をした柴崎さんは、それからふわりとほほ笑む。

「ご、ごめんなさい。いつもセルジオにされているから、光太も習慣づいていて」

「かまわないよ。チャオ」

 そう言って、彼も同じように返した。
< 131 / 183 >

この作品をシェア

pagetop