すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
* * *
柴崎家の長男として生まれ、将来はOAJの後継ぎだと決められていたことに不満はない。仕事に真摯な父の姿を尊敬していたし、なにより子どもの頃から飛行機が好きだったから。
父の方針で、子どもの頃から様々な現場を見て回っていた。もちろん、働いている人たちの邪魔にならないように配慮をして。
「いいか、拓真。飛行機はこうやってたくさんの人たちに支えられているんだ。そこではじめて、安全に飛ぶことができるんだぞ」
空港内は勿論のこと。整備の現場や機内食の製造工場など、学校が長期休暇になると父について回った。
そのひとつが、川島金属機器だった。
「ここは小さな工場かもしれないが、すごい技術を持っているんだ。飛行機の製造には必要不可欠の部品なんだが、この工場でしか作れないんだぞ」
訪問の約束を取りつけてあった当日。事務所の入口の前で父が言った。
「部品なんて、どこでも作れそうなものに」
なんの配慮もなくそうつぶやいた俺を、父は「そうじゃないんだよ」と諭してくる。
「拓真には、こういう下支えしてくれている人たちの存在を知って、関係を大切にしてほしい」
そうして対面した社長である川島雄大氏は、おおらかで気のいい男性だった。
「久しぶりだな、柴崎さん」
大企業のトップである父とも気さくな様子で接する。父も彼にはずいぶん気を許しているようで、同じような態度で応じていた。
社長の話を聞いて、工場の見学をする。その最後に、彼の言った言葉はとても印象的だった。
「うちの部品があるからあの飛行機が飛べる、なんて傲慢なことは言わない。うちの会社があの飛行機を飛ばすための歯車のひとつになれていることが、なによりも誇らしい」
自分の言いたいことはわかるか?と尋ねてくる彼に「はい」とうなずくと、満足そうに笑った。
父はこの人のこういう人柄が気に入っているのだろう。短時間のやりとりだったが、雄大さんは俺にとって尊敬できる人となっ
た。
柴崎家の長男として生まれ、将来はOAJの後継ぎだと決められていたことに不満はない。仕事に真摯な父の姿を尊敬していたし、なにより子どもの頃から飛行機が好きだったから。
父の方針で、子どもの頃から様々な現場を見て回っていた。もちろん、働いている人たちの邪魔にならないように配慮をして。
「いいか、拓真。飛行機はこうやってたくさんの人たちに支えられているんだ。そこではじめて、安全に飛ぶことができるんだぞ」
空港内は勿論のこと。整備の現場や機内食の製造工場など、学校が長期休暇になると父について回った。
そのひとつが、川島金属機器だった。
「ここは小さな工場かもしれないが、すごい技術を持っているんだ。飛行機の製造には必要不可欠の部品なんだが、この工場でしか作れないんだぞ」
訪問の約束を取りつけてあった当日。事務所の入口の前で父が言った。
「部品なんて、どこでも作れそうなものに」
なんの配慮もなくそうつぶやいた俺を、父は「そうじゃないんだよ」と諭してくる。
「拓真には、こういう下支えしてくれている人たちの存在を知って、関係を大切にしてほしい」
そうして対面した社長である川島雄大氏は、おおらかで気のいい男性だった。
「久しぶりだな、柴崎さん」
大企業のトップである父とも気さくな様子で接する。父も彼にはずいぶん気を許しているようで、同じような態度で応じていた。
社長の話を聞いて、工場の見学をする。その最後に、彼の言った言葉はとても印象的だった。
「うちの部品があるからあの飛行機が飛べる、なんて傲慢なことは言わない。うちの会社があの飛行機を飛ばすための歯車のひとつになれていることが、なによりも誇らしい」
自分の言いたいことはわかるか?と尋ねてくる彼に「はい」とうなずくと、満足そうに笑った。
父はこの人のこういう人柄が気に入っているのだろう。短時間のやりとりだったが、雄大さんは俺にとって尊敬できる人となっ
た。