すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
大人同士の話は尽きず、お手洗いを借りに出る。
通りかかった事務室の扉が空いており、一角で座り込む女の子の存在が視界に入った。
「お兄ちゃん、お客さん?」
「うん。ここの社長さんに会いに来たんだ」
「パパに?」
そうか。雄大さんの娘さんかと思い至る。たしか彼は奥さんを亡くして、男手ひとつで娘を育てているのだと聞いていた。
「お兄ちゃん一緒に遊んで」
室内には社員が何人かおり、社長がいない間はかわるがわる彼女を気にかけているようだ。
とはいえ、仕事中に長くかまうこともできない。きっと悠里は寂しい思いをしているのだろう。
「少しだけなら、いいよ」
彼女を不憫に思い、父らの話が終わるまでここにいてあげようと思う。
十二歳にもなって小さな女の子のおままごとに付き合うのは、なかなか恥ずかしいものがあった。けれど「ママはいないの」と言いながらも、楽しそうに屈託なく笑う悠里を見ていたら断るなんてできない。
「だめよ、パパ。お野菜もちゃんと食べてください」
悠里が張り上げた声に、どこからともなく失笑が聞こえてくる。室内に居合わせた社員のものだ。
ちょっとおませで小さいわりに言葉が達者なのは、父親が彼女にたくさん話しかけているからかもしれない。
おままごとだと言いつつ、おそらく彼女の発する言葉は家の中で交わされている会話なのだろう。
自分がそう言われているのか、もしくは実際に父親にそう注意しているのかはわからない。けれど、親子の仲の良さは伝わってきた。
通りかかった事務室の扉が空いており、一角で座り込む女の子の存在が視界に入った。
「お兄ちゃん、お客さん?」
「うん。ここの社長さんに会いに来たんだ」
「パパに?」
そうか。雄大さんの娘さんかと思い至る。たしか彼は奥さんを亡くして、男手ひとつで娘を育てているのだと聞いていた。
「お兄ちゃん一緒に遊んで」
室内には社員が何人かおり、社長がいない間はかわるがわる彼女を気にかけているようだ。
とはいえ、仕事中に長くかまうこともできない。きっと悠里は寂しい思いをしているのだろう。
「少しだけなら、いいよ」
彼女を不憫に思い、父らの話が終わるまでここにいてあげようと思う。
十二歳にもなって小さな女の子のおままごとに付き合うのは、なかなか恥ずかしいものがあった。けれど「ママはいないの」と言いながらも、楽しそうに屈託なく笑う悠里を見ていたら断るなんてできない。
「だめよ、パパ。お野菜もちゃんと食べてください」
悠里が張り上げた声に、どこからともなく失笑が聞こえてくる。室内に居合わせた社員のものだ。
ちょっとおませで小さいわりに言葉が達者なのは、父親が彼女にたくさん話しかけているからかもしれない。
おままごとだと言いつつ、おそらく彼女の発する言葉は家の中で交わされている会話なのだろう。
自分がそう言われているのか、もしくは実際に父親にそう注意しているのかはわからない。けれど、親子の仲の良さは伝わってきた。