すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「まずは、自己紹介からしようか」
そう言った彼は、名刺を取り出した。
「柴崎、拓真さん。OAJ……オーシャン・エアライン・ジャパンの……え? 大手航空会社の専務取締役!?」
失礼なのも忘れて、彼をまじまじと見てしまう。
この若さでそんな地位に就いているということは、相当優秀な人なのだろう。それに、多忙の身であるに違いない。
「父が、OAJの社長を務めているんだ。俺は今、パイロットとしても働いているが、いずれ後を継ぐために父の下で修業中といったところかな」
雲の上のような話に、ぽかんとしてしまう。
そんな私を見て、彼はくすりと笑った。
「悠里さんの話を聞いても?」
「はい……といっても、もうご存じの通り、川島雄大の娘です。えっと、父の経営する川島金属機器で事務の仕事をしています」
社長の娘といっても、うちは小さな会社だ。しかも、何度か経営の危機に立たされたくらい小さな。
彼に比べたらなんの変哲もない自己紹介だというのに、穏やかな表情でうなずきながら聞いてくれた。
「雄大さんの病状を聞いても?」
「ええ。以前からずっと体調不良が続いていたんですが、検査をしたら肺に影があると」
私の口調は、だんだん沈んでいく。正面に座った彼の眉間には、薄らとしわが寄った。
「先日、手術をしたんですけど……悪性でした。肺がん、ですね」
彼が瞼を閉じる。その表情はあまりにも悲痛で、本当に心を痛めているのが伝わってきた。
私自身、父の病気をまだ受け止めきれていない。恐怖から逃れるように、視線をテーブルに落とした。
そう言った彼は、名刺を取り出した。
「柴崎、拓真さん。OAJ……オーシャン・エアライン・ジャパンの……え? 大手航空会社の専務取締役!?」
失礼なのも忘れて、彼をまじまじと見てしまう。
この若さでそんな地位に就いているということは、相当優秀な人なのだろう。それに、多忙の身であるに違いない。
「父が、OAJの社長を務めているんだ。俺は今、パイロットとしても働いているが、いずれ後を継ぐために父の下で修業中といったところかな」
雲の上のような話に、ぽかんとしてしまう。
そんな私を見て、彼はくすりと笑った。
「悠里さんの話を聞いても?」
「はい……といっても、もうご存じの通り、川島雄大の娘です。えっと、父の経営する川島金属機器で事務の仕事をしています」
社長の娘といっても、うちは小さな会社だ。しかも、何度か経営の危機に立たされたくらい小さな。
彼に比べたらなんの変哲もない自己紹介だというのに、穏やかな表情でうなずきながら聞いてくれた。
「雄大さんの病状を聞いても?」
「ええ。以前からずっと体調不良が続いていたんですが、検査をしたら肺に影があると」
私の口調は、だんだん沈んでいく。正面に座った彼の眉間には、薄らとしわが寄った。
「先日、手術をしたんですけど……悪性でした。肺がん、ですね」
彼が瞼を閉じる。その表情はあまりにも悲痛で、本当に心を痛めているのが伝わってきた。
私自身、父の病気をまだ受け止めきれていない。恐怖から逃れるように、視線をテーブルに落とした。