すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「ん、光太。おはよう」

 翌朝、私よりも早くに目を覚ました光太が、頬にペタペタと触れてくる。
 重い瞼をなんとか開けると、至近距離から私の顔を覗き込んできた。

「おおよ、まま!」

 そのまま頬にちゅっと口づけてくる。私も同じように返し、そのまま体調は悪くないかを確認した。

「うん、元気そうだね」

 明るい表情をしているし、長時間移動した疲れは出ていないようだとほっとする。

 枕もとに置いてあった飛行機のぬいぐるみを、光太に手渡してやる。それで遊びはじめた隙に、手早く自分の着替えを済ませた。

 拓真さんのマンションは部屋数も広く、私と光太がふたりで寝られるこの寝室を用意してくれた。

『本当の夫婦になったら、寝室は一緒にするから』

 昨夜そう宣言した拓真さんは大人の色気に溢れていて、肌を重ねたあの日を思い出してしまった。顔を熱くした私に、彼は満足そうな顔をした。

「光太もお着替えしちゃおうね」

 すこぶる機嫌がいいようで、進んで手を伸ばしてくるから助かる。
 支度が整ったところで、光太を抱いてリビングへ向かった。

「おはよう。よく寝られた?」

 キッチンから、拓真さんが声をかけてきた。

「光太も私もぐっすり。体調も問題ないです」

「それはよかった」

 どうやら朝食の準備をしているようで、慌ててそちらへ向かう。

「簡単なものだけど」

 彼の手もとには、いろどり綺麗な具材が挟まれたサンドウィッチが完成していた。

「用意させちゃって……」

 ごめんなさいと続けかけたところ、彼が私の唇に人差し指を当ててくるから驚いた。
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