すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
 昨日決めていた通り、今日の午前中は両親のお墓参りに出かけた。

 途中で購入した花を生けて、手を合わせる。心の中で光太を紹介してから、これまでのことを報告した。そして最後には、私たちにかけられた疑惑を絶対に晴らしてみせると誓う。

 その隣では拓真さんが長く目を閉じていたが、きっと昨夜話していた通り、彼は結婚の挨拶をしているのだろう。

 父がもし生きていたら、私たちの結婚にどんな反応をしただろうか。
 生前、私と拓真さんを何度も冷やかしていたくらいだ。きっと反対はしていないはず。

 それから食事をとりながら、必要なものの買い出しにも出かけた。

「光太によく似あいそうだ」

 そう言いながら、拓真さんはどんどん購入を決めていく。

「悠里はこんな雰囲気な服をよく着ていたかな。ああ、でも動きやすさを重視した方がいいのか」

 量販店のものでいいと言ったのに、連れていかれたのはデパートだ。とにかく彼は乗り気で、値段も確認しないままあれこれ選んでいった。

「親子でおそろいもかわいい」

 服や日用品だけでなく、光太が遊べる玩具まで買おうとする。せめて自分で買うからという私の申し出はことごとく流され、結局はすべて拓真さんが用意してくれた。

「これまで、なにもしてやれなかったから」

 眉を下げてそんなふうに言われたら、反論なんてできるわけがない。

 朝からの外出で、夕方に帰宅する頃には光太もすっかり疲れて眠っていた。リビングに光太を寝かせて、私たちはソファーに隣り合って座る。

「今日はありがとう。両親に報告ができたのもよかったし、いろいろと買ってもらっちゃって」

 明日には、子ども用の椅子や光太が遊ぶスペースを作るための柔らかいマットなども届く予定だ。近い将来、私と光太は正式に家族としてここで暮らすのだという時間が強くなる。

 拓真さんがそれを望んでいる。彼のその気持ちに、疑惑を早く晴らさなければとこれまで以上に強く思った。
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