すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「こ、小林君。これは君がやったのでは?」

「まだ言い逃れするつもりか」

 この期に及んで人のせいにしようとする叔父に、拓真さんが呆れを隠さない口調で言う。

「悠里の代わりのように雇った事務員は、子どもを抱えて離婚して、生活に困っていたそうだな。そこで自分の不正を見逃すことを約束させ、代わりに毎月給料にプラスアルファのお金を渡す条件で経理の専属として雇用した」

 あのまま私が務めていては、叔父にとっては不都合だった。葬儀の後、私を早々に実家から追い出したのも、証拠の出所をでっちあげるため。

 今にして思えば、そんな稚拙なやり口にまんまと騙されてしまった自分が情けない。

「まだなにか、言いたいことはありますか?」

 拓真さんに問いかけられて、叔父はがくりと膝をついた。
 ここから先の話は矢神さんにお願いして、私たちは川島金属機器を後にした。


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