すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
 彼は今日からフライトで家を空ける。

 それと入れ替わるようにして、明後日に叔母とセルジオが来日する予定だ。ふたりは久しぶりに光太と会えることを喜んでおり、『一日くらい預かってあげるから、たまには夫婦水入らずでデートでもしていらっしゃい』と言ってくれた。

 そう。私と拓真さんは、叔父の罪が暴かれてすぐに婚姻届を提出して夫婦になった。
 でもなにかとバタバタしていて、夫婦らしいことはなにひとつできていない。拓真さんもパイロットを続けている上に、役員としてたくさんの仕事も抱えているのだから、相変わらずの多忙ぶりだ。

 結婚報告も兼ねて、叔母とセルジオにビデオ電話をつないだ際に、こちらの状況は話してある。それを受けての先の提案だ。

『甘えさせてもらおうか』

 セルジオからも愛はいつでも伝え合うべきだとアドバイスを受けて、苦笑しながら拓真さんが言う。

『それに、悠里に渡したいものがあると言ったろ? フライトから帰ったら、悠里とふたりきりで過ごしたい』

 忘れていたわけじゃなかったけれど、周辺が落ち着かずそのことについ聞けずじまいになっていた。
 ふたりに光太を預けるなんてイタリアでは頻繁にあったことで、全く不安はない。光太も慣れたものだから、そうさせてもらおうとうなずき返した。
 早速、叔母とセルジオは、光太を連れてテーマパークに行って……と楽しい計画を立てているそうだ。



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