すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
到着までの間に、既定の総量になるよう燃料を投機して調整を図る。
窓の外はすでに薄暗くなっている。照明の落ちた客室は乗客を恐怖させかねないが、乗務員の冷静な説明に納得してパニックにならずに済んでいると報告が入った。
緊張感に包まれたコックピット内に、失望の気配はない。
大丈夫だと、確信を持って操縦桿を握る。
しばらくすると、空港の誘導灯が見えてきた。途端に、副機長が安堵の息を漏らす。
「全員を無事に降ろすまでは、気を抜くな」
「は、はい」
背筋をピンと伸ばした副機長を横目に、正面を見すえた。
離陸後の三分間と着陸する前の八分間のクリティカルイレブンミニッツが一番危険だと、何度も教えられてきた。難局を無事に切り抜けても、最後の最後で気を抜いては大惨事を招きかねない。
必ず全員無事に地上へ降ろす。あらためてそう誓いながら、着陸の体勢に入った。
* * *
【今入ってきた情報によりますと、機体は大阪国際空港に無事着陸した模様です。乗員乗客は、全員無事とのことです】
テレビ画面を見つめながら握り合わせた手は、力がこもりすぎて白くなっていた。
ようやくもたらされた情報に、知らずに詰めていた息を吐き出す。
「よかった……」
彼の顔を見るまでは完全には安心できないが、ひとまず大丈夫そうだとソファーに体を預けた。
おそらく拓真さんは、この後も事後処理に追われるのだろう。帰宅は、明日になるかもしれない。
張り詰めていた緊張の糸がプツリと切れ、疲労感に襲われる。眠気に必死に抵抗していたが、抗えそうになかった。
窓の外はすでに薄暗くなっている。照明の落ちた客室は乗客を恐怖させかねないが、乗務員の冷静な説明に納得してパニックにならずに済んでいると報告が入った。
緊張感に包まれたコックピット内に、失望の気配はない。
大丈夫だと、確信を持って操縦桿を握る。
しばらくすると、空港の誘導灯が見えてきた。途端に、副機長が安堵の息を漏らす。
「全員を無事に降ろすまでは、気を抜くな」
「は、はい」
背筋をピンと伸ばした副機長を横目に、正面を見すえた。
離陸後の三分間と着陸する前の八分間のクリティカルイレブンミニッツが一番危険だと、何度も教えられてきた。難局を無事に切り抜けても、最後の最後で気を抜いては大惨事を招きかねない。
必ず全員無事に地上へ降ろす。あらためてそう誓いながら、着陸の体勢に入った。
* * *
【今入ってきた情報によりますと、機体は大阪国際空港に無事着陸した模様です。乗員乗客は、全員無事とのことです】
テレビ画面を見つめながら握り合わせた手は、力がこもりすぎて白くなっていた。
ようやくもたらされた情報に、知らずに詰めていた息を吐き出す。
「よかった……」
彼の顔を見るまでは完全には安心できないが、ひとまず大丈夫そうだとソファーに体を預けた。
おそらく拓真さんは、この後も事後処理に追われるのだろう。帰宅は、明日になるかもしれない。
張り詰めていた緊張の糸がプツリと切れ、疲労感に襲われる。眠気に必死に抵抗していたが、抗えそうになかった。