すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「飛行機好きの父は、私に手がかからなくなってから趣味の仲間と空港に訪れていたみたいで」

「雄大さんらしい。それなら、ちょうどよかったな」

 駐車場で車を降りて、彼に着いて歩いていく。
 空港内はたくさんの人であふれていた。その賑やかな雰囲気が、私の気分も明るくしてくれる。

 夕方とはいえ外はまだ暑いからと、柴崎さんは屋内展望フロアへ連れて行ってくれた。

 駐機場には複数の機体が待機している。
 キャラクターとコラボしてラッピングされた機体もあり、それに気づいた近くにいた子どもがはしゃいだ声を上げた。
 父が所有しているプラモデルと同じ機体も複数見えている。その中に、柴崎さんのお父様が経営しているOAJのロゴを見つけた。

 今にも飛び立とうとしている様子は見ごたえがあるし、離発着がこれほどひっきりなしに行われているのかと現状に驚きながら、夢中になって外を見つめる

 それくらい時間が経っていただろうか。隣から視線を感じてハッとした。

「楽しい?」

「は、はい」

「飛行機を前にして目を輝かせるなんて、さすが雄大さんの娘さんだ」

 そんなに熱中していたのかと気恥ずかしくて、彼から視線を外して外に向けた。

「父のように、マニアっていうわけじゃないんですよ」

 言い訳するようつぶやいた。

「知っているかな? 川島金属機器の作る部品は、大型機に使用されているんだ。部品自体はそれほど大きくないが、それでも絶対不可欠のもで。雄大さんの会社でしか作れない」

 事実として、私も知っていたことだ。
 けれど、実際に部品が使われている機体を目の前にすると、感慨深いものがある。
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