すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「父がずっと守ってきたものが、こうして多くの人の役に立っているんですね」

 なんだか、誇らしい気持ちになる。

「経営が苦しいときも、父は諦めないで必死に会社を守ってきたんです。私の、自慢の父です」

 自然と笑みを浮かべた私に、柴崎さんはわずかに目を見開いた。それから口角を上げてうなずく。

「雄大さんは本当にすごい人だ」

 柴崎さんがそう言ってくれたことがうれしい。
 彼と視線を合わせて伝える勇気はないから、外に見えている機体を見つめながら私の決意を明かす。

「うちにしか作れないものがあると知っている人は、ここにはほとんどいないけれど……父が信頼するあなたがその事実を知ってくれているだけで十分。これからも、うちの技術を絶対に守っていかないと」

 そのためには、父に元気になってもらわないといけない。

「頼もしいな」

 私の隣で駐機場を眺める柴崎さんを盗み見る。

 この人の存在が、心細かった私にとってどれほど大きかったか。毎日くれるメッセージにすっかり支えられてきた。

 好き、かもしれない。

 不意にそんなふうに思って、内心でうろたえる。

「どうかした?」

 視線を感じて、彼が首をかしげた。

「い、いえ」

 慌てて目を逸らしたが、見つめていたことに気づかれてしまっただろうか。
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