すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
「それでは、雄大さん。悠里さんをお預かりしますね」
約束の日になり、柴崎さんはお昼前に自宅まで私を迎えに来てくれた。礼儀正しい彼は、父にも丁寧に声をかける。
「ああ。よろしく――悠里。楽しんでおいで」
父が少しでも安心できるように、明るい笑みを返した。
今日は横浜まで車で向かい、街を散策する予定でいる。気持ちのいい秋晴れが広がっており、街歩きにもってこいの季節だ。
服装は、動きやすいラフなものを選んだ。白いニットに黒のクロプトパンツをはき、足下はヒールの高くない靴。肌寒くなった時のために、彼がプレゼントしてくれたストールも持ってきている。それに気づいた柴崎さんは、表情を綻ばせていた。
お見舞いの時は仕事帰りでスーツが多かった柴崎さんも、デニムに淡いグレーのセーターというシンプルないで立ちだ。
「柴崎さん。今日は誘ってくださって、ありがとうございます」
「そんなに畏まらなくていいよ。俺はこの日を楽しみにしていたんだから、悠里さんも気楽にいてくれるとうれしい」
返した笑みの裏で、勘違いしかねないことを言わないでほしいと切に願う。さりげない言葉で浮かれている私に、彼は気づいているだろうか。
車内では、とりとめもない話をたくさんした。彼はフライトで訪れた外国の話を聞かせてくれて、海外へ行ったことのない私は興味津々で耳を傾ける。
それから、父の話でもひと盛り上がりした。父は気さくで大らかなため、彼にとっては年齢差を気にせずいられるらしい。それでいて迷いや悩みなども相談しやすくて、実の親には言えないようなことでも話せてしまうのだという。とはいえ彼自身の家族関係はいたって良好だと、付け加えた。
「信頼している他人だからこそ、打ち明けられることもあるんだ」
柴崎さんにここまで言わせる父がうらやましい。そんな見当はずれな嫉妬心を抱いてしまうほど、彼は私の父親を慕っている。
約束の日になり、柴崎さんはお昼前に自宅まで私を迎えに来てくれた。礼儀正しい彼は、父にも丁寧に声をかける。
「ああ。よろしく――悠里。楽しんでおいで」
父が少しでも安心できるように、明るい笑みを返した。
今日は横浜まで車で向かい、街を散策する予定でいる。気持ちのいい秋晴れが広がっており、街歩きにもってこいの季節だ。
服装は、動きやすいラフなものを選んだ。白いニットに黒のクロプトパンツをはき、足下はヒールの高くない靴。肌寒くなった時のために、彼がプレゼントしてくれたストールも持ってきている。それに気づいた柴崎さんは、表情を綻ばせていた。
お見舞いの時は仕事帰りでスーツが多かった柴崎さんも、デニムに淡いグレーのセーターというシンプルないで立ちだ。
「柴崎さん。今日は誘ってくださって、ありがとうございます」
「そんなに畏まらなくていいよ。俺はこの日を楽しみにしていたんだから、悠里さんも気楽にいてくれるとうれしい」
返した笑みの裏で、勘違いしかねないことを言わないでほしいと切に願う。さりげない言葉で浮かれている私に、彼は気づいているだろうか。
車内では、とりとめもない話をたくさんした。彼はフライトで訪れた外国の話を聞かせてくれて、海外へ行ったことのない私は興味津々で耳を傾ける。
それから、父の話でもひと盛り上がりした。父は気さくで大らかなため、彼にとっては年齢差を気にせずいられるらしい。それでいて迷いや悩みなども相談しやすくて、実の親には言えないようなことでも話せてしまうのだという。とはいえ彼自身の家族関係はいたって良好だと、付け加えた。
「信頼している他人だからこそ、打ち明けられることもあるんだ」
柴崎さんにここまで言わせる父がうらやましい。そんな見当はずれな嫉妬心を抱いてしまうほど、彼は私の父親を慕っている。