すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
行く当てなど、叔父に与えられたあのアパートしかない。彼の言葉を信じるなら三カ月分は家賃を払ってくれるらしい。でも、仕事を失った私にはその先の支払いができない。貯金があるとはいえ、働く当てがなければいつかは底をつく。
「どうしたらいいんだろう……」
それでも帰る場所はあの部屋しかなくて、とぼとぼとうつむきがちに歩く。
帰宅した頃には、すでにお昼を過ぎていた。
かろうじて水だけ飲み、床にぺたりと座り込む。
父の無実を証明したくても、自宅を取り上げられた上に会社から追い出されてしまえば取れる手段はなにもない。
宮野さんを雇ったのは、私がこうなると見越してのことだったのかもしれない。
こんな話を相談できる相手など……とあきらめかけたところで柴崎さんの顔が浮かぶ。
父が亡くなってからバタバタしていたため、彼にはなにも連絡していなかった。スマホを手にして柴崎さんの連絡先を表示したところで、さっき叔父に言われた言葉がよみがえり手を止めた。
柴崎さんは大手航空会社の人間で、いずれは後を継ぐ立場にある。そんな人に冤罪とはいえ横領の疑惑をかけられた私とつながりがあると発覚したら、彼の将来を傷つけかねない。
それに、私たちは体の関係を持ったとはいえ交際の事実はない。「好きだ」と、一度も言われなかった。落ち着いたら連絡をすると言われたきり、彼からはまだなにもアクションがなく、ふたりの関係の希薄さを物語っている。
私たち親子にかけられた疑惑を、彼に相談するわけにはいかない。なにひとつ言えるわけがないと、胸の痛みを無視してスマホを床に置いた。
「どうしたらいいんだろう……」
それでも帰る場所はあの部屋しかなくて、とぼとぼとうつむきがちに歩く。
帰宅した頃には、すでにお昼を過ぎていた。
かろうじて水だけ飲み、床にぺたりと座り込む。
父の無実を証明したくても、自宅を取り上げられた上に会社から追い出されてしまえば取れる手段はなにもない。
宮野さんを雇ったのは、私がこうなると見越してのことだったのかもしれない。
こんな話を相談できる相手など……とあきらめかけたところで柴崎さんの顔が浮かぶ。
父が亡くなってからバタバタしていたため、彼にはなにも連絡していなかった。スマホを手にして柴崎さんの連絡先を表示したところで、さっき叔父に言われた言葉がよみがえり手を止めた。
柴崎さんは大手航空会社の人間で、いずれは後を継ぐ立場にある。そんな人に冤罪とはいえ横領の疑惑をかけられた私とつながりがあると発覚したら、彼の将来を傷つけかねない。
それに、私たちは体の関係を持ったとはいえ交際の事実はない。「好きだ」と、一度も言われなかった。落ち着いたら連絡をすると言われたきり、彼からはまだなにもアクションがなく、ふたりの関係の希薄さを物語っている。
私たち親子にかけられた疑惑を、彼に相談するわけにはいかない。なにひとつ言えるわけがないと、胸の痛みを無視してスマホを床に置いた。