すべてを失ったはずが、一途なパイロットに秘密のベビーごと底なしの愛で囲い込まれました
 セルジオにとって、叔母が溺愛する私と光太は〝世界一かわいい娘と孫〟も同然なのだそうだ。彼らの助けがなければ、私は出産をあきらめざるをえなかったかもしれない。

『光太、ノンノ』

 セルジオが自身を指さしながら、繰り返し光太に言い聞かせている。
 彼は光太に自分を〝おじいちゃん(ノンノ)〟と呼ばせたいらしく、頻繁に言葉を教えている。この調子でいけば、光太は私よりも早くイタリア語を習得しそうだ。

 そんなふたりの様子をくすりと笑いながら、叔母に向き合う。

「叔母さん。そろそろ光太を保育園に通わせようと思って」

「保育園?」

「そう。私、プライベートのサポートだけじゃなくて、もっと叔母さんの役に立ちたいって思っているの。まだ完ぺきとは言えないけれど、なんとかイタリア語も話せるようになってきたでしょ? だから叔母さんの仕事面の手伝いももっとできるかなって」

 家事をメインに、彼女の身の回りのお世話全般が私に任された仕事だ。
 彼女は自宅を職場にしているため、こちらへ来た当初は私もここで住まわせてもらいながら仕事をこなしていて。
ただ、いつまでもこのままというわけにはいかない。
 それは私が常に感じていることで、甘えをなくすために三カ月ほど前には近くにアパートを借りて光太とふたりで暮らし始めた。
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