マーガレット
「そこまで危険なら止めておいた方がいいよね。君の体も大切だし」

「何を仰るんです。私が我慢したら楽になるんですよ? 今まで我慢した分、殿下は元気になってやりたい事をやるべきです。自分が関わった方が元気になって平和に過ごす。それを見るのが嬉しくて聖女をやっているので、殿下もその仲間入りをしてください」

「しかし女性にそのような」

 辛いはずなのに人の心配ばかりをする殿下。十年間も呪われていたんだから精神が病んでもおかしくないのに、他人を思いやる気持ちは健在らしい。

『そうだ! 止めておけマーガレット』

「殿下もヴァルも忘れているので言いますが、聖女とはそのような役割なのです」

 ――それに私に何かあったらヴァルが助けてくれるでしょ?
 そう言うと彼は視線を逸らし『頼りすぎだ』といじけた子供のように小さな声で言った。

「恐らく起き上がれるまで時間が掛かると思うので、その間休暇を貰ってもよろしいでしょうか?」

「ああ。皇宮で何もかももてなそう」

「ありがとうございます。心強いです」

 この国一番の味方をつけた私はヴァルに向き合い、

「何かあったらよろしくね?」

と再度お願いした。

『仕方ない。ただし何かあったらこの国で二度と太陽を見れないと思え』

「もう脅さないで。じゃあ殿下よろしいですか?」

「ああ。頼む」

 こうして私は持てるだけの力を使い殿下の治癒にあたった。

 穢れを自分の体に取り込んでいる間、聖神力と反発してもの凄い痛みが襲い倒れそうになったが、ヴァルが後ろから支えてくれてなんとかすべての穢れを自分に移すことが出来た。

「――ッ」

 安心と痛みから完全に力が抜け、ヴァルが何かを言っていたけどそのまま気を失ってしまった。
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