マーガレット

派遣

「……しんどい」

『だから言っただろう。聖女が穢れを取り込むとそうなると』

 殿下の治療を終えてから気がついたら三日も経っていたらしく、目を覚ますと同時に『馬鹿者』ってヴァルに怒られた。

 眠っている間、私の面倒をみてくれていたのは侍女のリアで、目が覚めたと陛下たちに報告してくれただけではなく体の痛みで起き上がれない私の為に体を拭いたり、水を飲ませたりとかなり尽くしてくれた。

「いたぃ」

 軽く起き上がれるようになった今でも痛みが襲ってくる。

『まったく世話のかかる』

 そう言いながらも彼は痛みが和らぐようにと手を尽くしてくれる。
 不機嫌そうな顔をしても優しいのは変わらないのだ。

「ありがとう」

『あんな馬鹿な奴に力を使わなくてもよかったんだ。目が覚めたと聞いても一度も会いに来ないような奴』

 両陛下は私に会いに来てくださった。一度や二度ではなく何度も。
 でも殿下は一度も様子を伺いには来なかった。どうやら回復して歩けるようになった彼は庭園で運命の出会いを果たしたらしく、時間があれば運命の相手と会っているとリアが教えてくれた。

 元気になったことはいい事。でも羽目を外しすぎなければいいのだけど。

「好きな事を見つけたのならいいのよ。裏方は裏方の時間があるでしょ?」

『その時間が身代わりとは。随分有意義な時間だな』

「おかげさまで。ヴァルが居るからすごく楽だよ」

『馬鹿者……』

 精霊王と言われ他の精霊から敬意を払われるような凄い方なのに、私の前ではただの照れ屋。

『考え事をしていないで少し寝ろ。俺も犬になってやるから』

 私が倒れてからはずっと大型犬の姿で一緒にいてくれている。その方が姿を現せるし、何かあった時にすぐに対処できるからとヴァルは言った。
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