祝福のあとで
照明が、ゆっくりと落ちる。
司会の声が会場に響き、
拍手がひとつ、ふたつと重なっていく。
披露宴が、始まった。
ひかりは会場の端に立ち、
進行表から目を離さず、全体を見渡す。
予定通り。
音響も、照明も、滞りない。
乾杯の合図と同時に、
ゲストの動きが少しずつ変わる。
グラスを手に、
バーカウンターの方へ流れていく人影。
ひかりは、ほんの一瞬だけ視線をそちらに向けた。
カウンターの内側で、
黒いシャツの彼が、静かに手を動かしている。
注文を受け、
ボトルを選び、
無駄のない動作でグラスを差し出す。
笑顔は控えめ。
でも、目配りは行き届いている。
——問題ない。
それどころか、
想像していたより、ずっと安定していた。
「……あの方」
隣で、あきが足を止める。
視線の先は、同じ場所だった。
「外部のバーテンダーですよね」
「はい」
「慣れてますね」
感想は、それだけ。
ひかりは、小さく頷いた。
「披露宴の空気を、ちゃんと読んでる」
評価は、仕事の言葉だった。
あきは、少しだけ観察するようにカウンターを見る。
グラスを受け取ったゲストが、
自然に笑って、会話に戻っていく。
「……なるほど」
それ以上は、言わなかった。
代わりに、あきは進行表に目を落とす。
「このまま、予定通りで問題なさそうですね」
「はい」
短い返事。
それで十分だった。
ひかりは、再び会場全体に意識を戻す。
祝福の中心にいるのは、新郎新婦。
自分は、その周囲を整える側。
でも。
視界の端で、
カウンター越しに動く彼の姿が、
ずっと、安定したリズムを刻んでいる。
それが、
不思議と心強かった。
選択は、間違っていなかった。
そう確認するように、
ひかりは静かに、次の進行を指示した。
司会の声が会場に響き、
拍手がひとつ、ふたつと重なっていく。
披露宴が、始まった。
ひかりは会場の端に立ち、
進行表から目を離さず、全体を見渡す。
予定通り。
音響も、照明も、滞りない。
乾杯の合図と同時に、
ゲストの動きが少しずつ変わる。
グラスを手に、
バーカウンターの方へ流れていく人影。
ひかりは、ほんの一瞬だけ視線をそちらに向けた。
カウンターの内側で、
黒いシャツの彼が、静かに手を動かしている。
注文を受け、
ボトルを選び、
無駄のない動作でグラスを差し出す。
笑顔は控えめ。
でも、目配りは行き届いている。
——問題ない。
それどころか、
想像していたより、ずっと安定していた。
「……あの方」
隣で、あきが足を止める。
視線の先は、同じ場所だった。
「外部のバーテンダーですよね」
「はい」
「慣れてますね」
感想は、それだけ。
ひかりは、小さく頷いた。
「披露宴の空気を、ちゃんと読んでる」
評価は、仕事の言葉だった。
あきは、少しだけ観察するようにカウンターを見る。
グラスを受け取ったゲストが、
自然に笑って、会話に戻っていく。
「……なるほど」
それ以上は、言わなかった。
代わりに、あきは進行表に目を落とす。
「このまま、予定通りで問題なさそうですね」
「はい」
短い返事。
それで十分だった。
ひかりは、再び会場全体に意識を戻す。
祝福の中心にいるのは、新郎新婦。
自分は、その周囲を整える側。
でも。
視界の端で、
カウンター越しに動く彼の姿が、
ずっと、安定したリズムを刻んでいる。
それが、
不思議と心強かった。
選択は、間違っていなかった。
そう確認するように、
ひかりは静かに、次の進行を指示した。