祝福のあとで
返事をするなら、
きちんと向き合ってからにしようと思っていた。
だから、
時間を置いた。
仕事が一段落して、
頭の中が静かになってから。
ひかりは、
あきに連絡を入れた。
場所は、
打ち上げで使った店の近く。
約束の時間に現れたあきは、
少しだけ緊張した顔をしていた。
「急に呼んでごめん」
「いや、大丈夫」
グラスが運ばれる前に、
ひかりは口を開いた。
「先に、言いますね」
あきは、
何も言わずに頷いた。
「……やり直す話
考えました」
言葉を選ぶ。
「昔のことも、
今回一緒に仕事したことも」
「嫌な時間じゃなかったです」
正直な気持ち。
だからこそ、
次の言葉は、はっきりと。
「でも、
戻りたいとは、思えませんでした」
あきは、
すぐには反応しなかった。
「前と違う理由なら——」
「違うんです」
ひかりは、静かに首を振る。
「今の私は、
あの頃に戻ること自体を、
選ばないと思います」
責める気持ちはない。
ただ、
事実として。
「仕事の価値観が合わなかったとか、
忙しかったとか」
「そういう話じゃなくて
私自身が、
もう違う場所にいるんです」
あきは、
小さく息を吐いた。
「……そっか」
それ以上、
引き止める言葉はなかった。
「正直に言ってくれて、
ありがとう」
ひかりは、
少しだけ胸が軽くなるのを感じた。
「こちらこそ」
それだけだった。
別れ際、
あきは振り返って言った。
「今なら、
理解できる気がします」
ひかりは、
何も答えなかった。
答える必要が、
もうなかったから。
きちんと向き合ってからにしようと思っていた。
だから、
時間を置いた。
仕事が一段落して、
頭の中が静かになってから。
ひかりは、
あきに連絡を入れた。
場所は、
打ち上げで使った店の近く。
約束の時間に現れたあきは、
少しだけ緊張した顔をしていた。
「急に呼んでごめん」
「いや、大丈夫」
グラスが運ばれる前に、
ひかりは口を開いた。
「先に、言いますね」
あきは、
何も言わずに頷いた。
「……やり直す話
考えました」
言葉を選ぶ。
「昔のことも、
今回一緒に仕事したことも」
「嫌な時間じゃなかったです」
正直な気持ち。
だからこそ、
次の言葉は、はっきりと。
「でも、
戻りたいとは、思えませんでした」
あきは、
すぐには反応しなかった。
「前と違う理由なら——」
「違うんです」
ひかりは、静かに首を振る。
「今の私は、
あの頃に戻ること自体を、
選ばないと思います」
責める気持ちはない。
ただ、
事実として。
「仕事の価値観が合わなかったとか、
忙しかったとか」
「そういう話じゃなくて
私自身が、
もう違う場所にいるんです」
あきは、
小さく息を吐いた。
「……そっか」
それ以上、
引き止める言葉はなかった。
「正直に言ってくれて、
ありがとう」
ひかりは、
少しだけ胸が軽くなるのを感じた。
「こちらこそ」
それだけだった。
別れ際、
あきは振り返って言った。
「今なら、
理解できる気がします」
ひかりは、
何も答えなかった。
答える必要が、
もうなかったから。