祝福のあとで
それから、数日が過ぎた。
Bar Afterの扉を押すと、
直はすぐにこちらを見た。
いつもより、
少しだけ早い気がした。
言葉は交わさないまま、
カウンターの端に座る。
グラスが置かれる。
ひかりは、
それを見てから口を開いた。
「……この前の話なんですけど
あのとき、返事をしなくて」
少しだけ間を置いてから、続ける。
「もし、
まだそのままなら」
「食事の話、
今度は私からお願いしてもいいですか」
ひかりの言葉が終わるのを待ってから、
直は一度だけ、グラスに視線を落とした。
それから、ゆっくり顔を上げる。
「……ええ」
短い返事。
でも、
拒む響きはなかった。
「こちらから言い出したことですから
まだ、そのままですよ」
ひかりは、
思わず息を整える。
直は、
いつもと変わらない調子で続けた。
「日程は、
ひかりさんの都合に合わせます」
決めつけない。
急がせない。
それなのに、
逃げ道も残さない言い方。
ひかりは、
小さく頷いた。
「……ありがとうございます」
直は、
ほんの少しだけ口角を上げる。
「こちらこそ」
グラスの中で、
氷が静かに音を立てた。
約束というほど、
大げさなものじゃない。
でも、
確かに一つ、
先の話が決まった。
Bar Afterの扉を押すと、
直はすぐにこちらを見た。
いつもより、
少しだけ早い気がした。
言葉は交わさないまま、
カウンターの端に座る。
グラスが置かれる。
ひかりは、
それを見てから口を開いた。
「……この前の話なんですけど
あのとき、返事をしなくて」
少しだけ間を置いてから、続ける。
「もし、
まだそのままなら」
「食事の話、
今度は私からお願いしてもいいですか」
ひかりの言葉が終わるのを待ってから、
直は一度だけ、グラスに視線を落とした。
それから、ゆっくり顔を上げる。
「……ええ」
短い返事。
でも、
拒む響きはなかった。
「こちらから言い出したことですから
まだ、そのままですよ」
ひかりは、
思わず息を整える。
直は、
いつもと変わらない調子で続けた。
「日程は、
ひかりさんの都合に合わせます」
決めつけない。
急がせない。
それなのに、
逃げ道も残さない言い方。
ひかりは、
小さく頷いた。
「……ありがとうございます」
直は、
ほんの少しだけ口角を上げる。
「こちらこそ」
グラスの中で、
氷が静かに音を立てた。
約束というほど、
大げさなものじゃない。
でも、
確かに一つ、
先の話が決まった。