祝福のあとで
日程は、
 その場では決めなかった。

 決めなくても、
 いい気がした。

 グラスを空にして、
 ひかりは席を立つ。

「今日は、ありがとうございました」

「こちらこそ」

 直は、
 いつもと同じ調子で答える。

 それが、
 かえって安心だった。

 扉を開けると、
 夜の空気が、やわらかく流れ込む。

 数歩歩いてから、
 ひかりは立ち止まった。

 胸の奥に、
 小さな感覚が残っている。

 期待でも、
 高揚でもない。

 ただ、

 ——約束したんだ。

 そう、
 静かに理解しただけ。

 振り返ることはしなかった。

 でも、
 足取りは少しだけ軽い。

 夜は、
 まだ続いている。
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