祝福のあとで
料理が少し減って、
グラスの中身も、半分ほどになった。
会話が途切れても、
気まずさはない。
ひかりは、
その静けさを確かめるように、
一度だけ息を吸った。
直に、
あの話の続きをするつもりはなかった。
でも、
相談に乗ってもらった相手と、
こうして向かい合って食事をしていることが、
もう一つの答えみたいに思えた。
ひかりは、
その感覚を、
言葉にしておきたくなった。
「……昔は」
ひかりは、グラスを見たまま言った。
「結婚式が、好きでした。
祝福も、未来も、全部」
直は、黙って聞いている。
相槌も、続きを促す言葉もない。
ただ、そこにいる。
「だから、
仕事ばかりになっても、平気だったんです
むしろ、
それが正しいと思ってました」
氷が、静かに音を立てる。
直は、そこで初めて口を開いた。
「……信じてたんですね」
断定でも、評価でもない。
受け取ったままの声。
ひかりは、小さく頷く。
「信じてました。
形にすれば、続くって」
少し間があって。
「今は?」
直の声は、低くて穏やかだった。
ひかりは、すぐには答えなかった。
料理に視線を落とし、
一度だけ息を整える。
「……嫌いじゃないです。
でも」
ひかりは、料理に視線を落としたまま続ける。
「同じ熱では、
もう、見れなくなりました」
直は、すぐに返さない。
その沈黙が、
ひかりにはありがたかった。
「壊れた、とは思ってません」
ひかりは続ける。
「ただ、
知ってしまった感じです」
「何を?」
「祝福のあとに、
何が残るのかを。
そして
残らないことも、
あるって」
直は、そこで初めて
グラスから手を離した。
グラスの中身も、半分ほどになった。
会話が途切れても、
気まずさはない。
ひかりは、
その静けさを確かめるように、
一度だけ息を吸った。
直に、
あの話の続きをするつもりはなかった。
でも、
相談に乗ってもらった相手と、
こうして向かい合って食事をしていることが、
もう一つの答えみたいに思えた。
ひかりは、
その感覚を、
言葉にしておきたくなった。
「……昔は」
ひかりは、グラスを見たまま言った。
「結婚式が、好きでした。
祝福も、未来も、全部」
直は、黙って聞いている。
相槌も、続きを促す言葉もない。
ただ、そこにいる。
「だから、
仕事ばかりになっても、平気だったんです
むしろ、
それが正しいと思ってました」
氷が、静かに音を立てる。
直は、そこで初めて口を開いた。
「……信じてたんですね」
断定でも、評価でもない。
受け取ったままの声。
ひかりは、小さく頷く。
「信じてました。
形にすれば、続くって」
少し間があって。
「今は?」
直の声は、低くて穏やかだった。
ひかりは、すぐには答えなかった。
料理に視線を落とし、
一度だけ息を整える。
「……嫌いじゃないです。
でも」
ひかりは、料理に視線を落としたまま続ける。
「同じ熱では、
もう、見れなくなりました」
直は、すぐに返さない。
その沈黙が、
ひかりにはありがたかった。
「壊れた、とは思ってません」
ひかりは続ける。
「ただ、
知ってしまった感じです」
「何を?」
「祝福のあとに、
何が残るのかを。
そして
残らないことも、
あるって」
直は、そこで初めて
グラスから手を離した。