祝福のあとで
第16章 境目を越えた夜
恋だと気づいたからといって、
すぐに何かが変わるわけじゃない。

ひかりは、
その夜も、
答えを出さないまま店を出た。

ただ、
もう戻れない場所があることだけは、
はっきりしていた。

*

翌日も、
その次の日も、
仕事は変わらず続いた。

進行表を確認して、
連絡を返して、
式の段取りを整える。

いつも通りの一日。

——なのに。

気づくと、
頭のどこかで、
同じことを考えている。

どうしたらいいんだろう。

好きだとわかったあと、
人は、何をすればいいんだろう。

誰かを好きになることは、
久しぶりだった。

正確に言えば、
比べるほどの経験が、
なかった。

どう始めて、
どう進めて、
どこで名前をつけるのか。

その全部が、
ひかりには曖昧だった。
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