執愛滾る脳外科医はママと娘を不滅の愛で囲い込む
 披露宴が終わり席を立つと、足もとがふらついた。
 調子に乗ってカクテルを飲みすぎてしまったことを今さらながら後悔する。
「大丈夫?」
「ちょっと飲みすぎたみたい」
「瑠璃、お酒弱いのにガブガブ飲んでたもんね。二次会行けそう?」
「……ごめん。ちょっと無理かも。私、このまま帰るね」
 二次会に行っても、みんなに迷惑をかける予感しかない。
 こうなれば黙って帰宅するしかないだろう。
 名残惜しいが、おぼつかない足取りでエレベーターへと乗り込んだ。
 ふいに目を閉じると睡魔に襲われ、ハッとして首を横に振る。
 そのうちにエレベーターが一階に着き、とぼとぼと歩き出した。
 なんだかさらに酔いが回ってきたかもしれない。
「ひゃっ!」
「危ない!」
 ロビーの廊下でつまずきそうになったところを誰かが腕を掴んでくれて助けられた。
「大丈夫ですか?」
 支えてくれたのは、結婚式に参加していたと思われるスーツ姿の長身の男性だった。
「ん? はい、大丈夫です。助けてくださってありがとうございました」
 コクコクと頭を縦に振り再び歩き出そうとすると、男性が腰もとに手を回してきた。
「真っ直ぐに歩けてないですよ」
 自分では真っ直ぐ歩いているつもりなのだけれども、彼がそう言うならできていないのかもしれない。
「大丈夫ですよ! あとは帰るだけだから。タクシー乗ったので」
「タクシー? ここロビーですよ。だいぶ酔ってますね。よかったら酔いが醒めるまで、俺の部屋で少し休んで行きませんか?」
 部屋で休む?
 いやいや、家に戻って寝るので、それは丁重にお断りしま……。
 なんだか眠くなってきて、自然と瞼を閉じたその時。
「瑠璃、飲みすぎだ。帰るぞ」
「ん?」
 この声は……。
「あれ……? 蓮斗……くん?」
 いや、まさかね。
 確かめたいけれど睡魔に勝てず、目が開かない。
「彼女が迷惑をかけたようですまない。あとは俺が……」
 誰かがなにかを喋っているけれど、頭がふわふわとして会話がまったく入ってこなかった。
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