執愛滾る脳外科医はママと娘を不滅の愛で囲い込む
 結婚式が行われたホテルの上階にあるスイートルームに瑠璃を連れ込み、ベッドに彼女を寝かせてからひとまずパンプスを脱がせた。
 ここは俺の父親が経営するホテルのひとつで、この部屋は父親の所有になっている。寺原家の面々はいつでも使えるようになっており、俺も今日はここに泊まるつもりでいたのだ。
 車で瑠璃を送り届けようとも考えたが、瑠璃が今どこに住んでいるか知らない。瑠璃の母親が入院中にチラッと聞いた話によると、瑠璃は今実家を出てひとり暮らしをしているようだ。病院に問い合わせればカルテ記録から瑠璃の実家の住所は割り出せるが、時間も遅いし半分職権乱用みたいなものになるしな。
「んー、喉乾いた……暑い……」
「瑠璃、ほら飲んで」
 まるで五歳児をあやすようにゆっくりと彼女の体を起こしながら、ペットボトルの水を口もとに持っていく。
「美味しい……ありがとうございます」
 フフッと笑う瑠璃を見て、静かに息を吐いた。
 きっと俺のこともまったく認識してはいないだろう。
 隙がありすぎだ。
「酔いすぎだぞ」
 酔っ払い相手に珍しくムキになってそう言う俺は、大人げないのかもしれない。
「もう……眠い、むり~」
 瑠璃は酔うとこうなるのか。
 あのままあの男に連れ去られていたらどうなっていたか。
 なおさら駆けつけられてよかったと思った。
「ああ。もう今日は寝な」
 ベッドの上で体を丸める瑠璃に優しくそう言う。
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