バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 リナリアは妃教育が始まる直前、私にある疑問を投げかけた。

「姉様は、わたしにジェラルド様を譲ってくれるんでしょう?」
「あなたが殿下を引き取る気があるのなら、そのつもりですわ」
「だったら妃教育でも、わざと手を抜いてほしいの!」

 妹は、満面の笑みを浮かべてとんでもない提案をしてくる。
 そんな彼女を凝視したところで、リナリアは「何かおかしいことを言った?」とでも言わんばかりに小首を傾げている。
 男性から見ればかわいらしい仕草でも、同性からはぶりっ子と称するのが適していそうなのがなんとも言えない気まずさを感じてしまう。

 ――回帰する前の私は、こうした仕草をする妹が大嫌いだった……。

 リナリアは、自分にないものを持っていて、みんなから白の歌姫と愛される。
 そんな少女が憎たらしくて、疎ましかった。
 大好きな殿下まで奪われてしまうし、視界に入れるのが嫌なくらいに憎悪しているはずなのに――前世を思い出したからか。
 今は、呆れの感情のほうが大きかった。
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