【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 腕の中のフレンはキャッキャと嬉しそうに光を追っていた。その一つがエメリアの目の前を横切ったときに、正体が分かった。

(妖精!)

 そうだ、フレンは妖精の愛し子だった。
 親や家族から与えられなかった愛情を、妖精が癒してくれる。

 けれど、とエメリアは首を傾げた。

(精霊と心を通わせるのはかなり先……十四、五歳のはず……?)

 そういうこともあるのだろうか。
 なんにせよ、働きに出ている間フレンを守ってくれるならありがたい。

「フレンのことをよろしくね」

 目の前にきた妖精に指先で挨拶をする。ちかちかと発光する妖精に笑顔を返した。

「さぁ明日も働かないと!」
「ないとー!」

 ニコニコと健やかに微笑んでいる可愛いフレンを抱きしめる。

 日々の暮らしにはなにも不自由はない。しかし時折思い出すのはやはり、挨拶もできず去ったあの人のこと。

(――どうしているかな)

 辺境の村には王都の情報はほとんど流れてこない。
 元の小説では、エメリアが亡くなって二年後には再婚をしているから、もう後妻を娶っていてもおかしくはないが……。

「いえ、もう他人だし……、っ」

 そこで、後ろから強い力で腕を掴まれた。
 はっとして振り返ると、そこにいたのは――息を切らしたギルフォードだ。

「エメリア……!」
「陛下!?」

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