【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 彼は見たことのないくらい焦った顔をしている。

「探したぞ」

(嘘でしょ! なんでここに)

 腕を掴まれたまま動けずにいると、すぐに騎士が周りを取り囲んだ。
 白銀の鎧と剣。王国最強の近衛騎士団だ。

 突然の殺伐とした雰囲気に驚く村人たちを、騎士たちがテキパキとひとところに集める。
 縄で縛られた村長や村の皆を前にギルフォードが言った。

「……王妃を拐かすとは」
「違います、私が自分でここに……そもそも離縁状を置いて行ったはず!」

 言うとギルフォードはしれっと言った。

「燃やした」
「燃やした!?」

 頭がくらくらする。

「……ああ、なるほど、それで改めて離縁状が必要で探していたんですね……、待ってください今書くので」

 手を取られる。
 顔を上げると、意外にも真剣な表情のギルフォードがいた。悲しそうに眉をひそめている。

 心臓がひとつ跳ねた。
 どうしてそんな縋るような目でエメリアを見るのだろう。







 ギルフォードは、手を取られてびっくりしている表情のエメリアを見た。

 娶った時は美しいが大人しく面白みのない女としか考えなかった。
 公爵家という肩書と、主張しない娘。それが都合が良かった。

 しかし今目の前にいるエメリアは、公爵家や王宮にいるときとはまるで違っていた。
 腰まで伸びるプラチナブロンドの髪を無造作にまとめ、土と汗にまみれている姿はいっそう美しく見える。
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