【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「おかあさま!」
「フレン」

 エメリアが農作業を終えて戻ると、可愛い娘が駆け寄ってきた。
 温かく愛しい身体を抱きしめる。夫に似た銀の髪に大きな蒼い瞳。娘は三歳になった。

 村長が口が堅い産婆さんを紹介してくれて無事に出産ができた。
 一人での子育ては大変だったが、村長の奥さんはじめ皆が手伝ってくれてこうして親子不自由なく暮らせているのがありがたい。

 訳ありのエメリアたちを匿ってくれた村の皆には感謝してもしきれない。

 農作業の手伝いで日銭を稼いでいた。

 村の皆がなにかと野菜や肉をくれるので、結局使わなかった逃亡資金は村の整備のために使っている。
 か弱く風が吹けば倒れそうだったエメリアは、すでに遠い昔だ。
 今ならフレンを抱いたまま数時間立ち話もできる。

「でも気をつけなよ、エメリアさんを狙っている男衆は山ほどいるからね」
「またまた」

 そんな話をした隣家の奥さんは、まだ用事があると集会場に向かった。

 フレンを抱きながらのんびりと家に向かう。

「おかあさま、きょうはね、みんなとどろだんごをつくったの。あげる」
「まぁ素敵な泥団子ね」

 綺麗に磨かれた泥団子を受け取る。

エメリア(わたし)が死ぬのが、確かフレンが五歳のとき……必ずこの可愛い子のために生き延びねば……ん?)

 ふと、エメリアの周りにきらきらした光がいくつも舞っているのに気づく。
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