【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして

 離縁状を置いて彼女が城を出たのは、三年前。

 お飾りの王妃として申し分のない働きをしていたエメリアが、権力も名誉も捨てて去ったことに愕然とした。

 自分の元には昔から、皇太子という地位を利用しようとするものばかりが集まった。
 いつの頃からだろう、それならば自分が先に利用してやろうと考えるようになったのは。

 そんな己を戒めるように、諭すように、お飾りでいいと軽んじていたエメリアは軽やかに目の前から消えた。

 あれほど打ち込んでいた公務にも身が入らず、彼女のようにあちこちに視察に出るようになった。

 なぜもっとそばにいなかったのか、前兆を掴めなかったのかと後悔した。
 国中を探したが行方はさっぱりわからない。そして、ようやく子を抱いている彼女を見つけた。

 その姿を見た瞬間、生まれて初めてギルフォードは何も考えずに騎士たちから飛び出した。

 触れた瞬間、その細い腕の感触が伝わる。

 ――ようやく君を捕まえた。
< 12 / 121 >

この作品をシェア

pagetop