【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 悪い妖精お手製、古き良き仮死状態アイテム。

「どくりんご?」
「毒……」
「リンゴが毒なのですか?」

 エメリアの言葉に、メレディス以外が首を傾げた。

「メレディス、人を仮死状態にするリンゴを作れないかしら」
「ええ、まぁできますが……さすがエメリア様、妖精の秘技を知っているなんて」

 吐息をこぼしたメレディスが出した手に、つやつやの美味しそうなリンゴが現れる。

 エメリアは机に置かれた、自分の背よりも高いそれを見上げた。

「意識がある状態では、あちらの力が強くて身体の中に入ることができません。寝ているときも試したのですが、ダメでした」

 だが、仮死状態ならどうだろう。

 それに、仮死状態を死んだものと判定して、運命から逃げられた物語はたくさんある。
 白雪姫しかり、眠れる森の美女しかり。

 愛する人とのキスで目覚めることも含めて、エメリアは作戦を簡潔に説明した。

「あとは『エメリア』が差し出されたリンゴを素直に食べてくれるかどうかですけど……」
「俺に任せてくれ」

 口を開いたのは、ギルフォードだ。

「一口でも食べさせればいいのだろう」
「ええ、……まぁ」




 そうしてギルフォードは偽の離縁状と切ったリンゴを持って、『エメリア』の待つ寝室へと赴いた。
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