【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 そのポケットにそっとエメリアは身体を忍ばせている。子どもたちはメレディスにお願いした。

「入るぞ」

 寝室に現れたギルフォードを見て、『エメリア』が嬉しそうに微笑んだ。

「陛下」
 
 駆け寄って、躊躇なく抱きついた。

「ぐ……」

 宣言通り、途端に動きがぎこちなくなるギルフォードをポケットから叩く。

(陛下、しっかりしてください!)

 それに、自分のそういう仕草はむず痒くて見ていられない。

「……夜食にどうだ」

 気を取り直したギルフォードが言う。
 『エメリア』は彼の持っているリンゴに視線を向けた。

「……ありがとうございます、でも私リンゴは嫌いで」
「そう言わず」

 ギルフォードがひとつとって、自分の口元に持っていく。

 一口、自分で食べた彼は『エメリア』の顎に手を置いて上を向かせ――そっと口づけた。

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