【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「村長からききました」

 村長! と叫びたかったが、恩人だし今は人を攻撃したフレンを叱る方が先だ。

「……だめよ、人に妖精をぶつけては」

 あまり聞いたことのない叱り文句である。
 真剣な顔でめっと言うと、フレンはすぐに大きな目をじわりと涙でにじませた。

「……う、ごめんなさいおかあさま……」
「よしよし。今度は気をつけましょうね」

 泣き出したフレンをなぐさめる。
 妖精の愛し子とはいえ、三歳。まだまだわからないことはいっぱいあるだろう。

「……聖母……」
「え?」

 ぼそりと聞こえた声に顔をあげると、何故か少し頬を赤らめたギルフォードが咳払いをした。

「いや、なんでもない。俺たちの子は妖精の力が使えるのか」
「え、ええ……」

 やけに俺たちの、を強調して夫が言う。
 戸惑うと同時に警戒する。

(まさか、フレンを政治の道具にしようとするのでは)

 大地の魔力から生まれる妖精は、強い力を持つ。
 お願いすれば色々な手伝いをしてくれるし、捕まえて魔力増幅のために利用する魔術師も多い。

 未だにエメリアの周りには妖精がヒュンヒュンと回っていた。
 ギルフォードはそんなエメリアたちを見て――頬をゆるめた。

「……君を守っているんだな」
「っ」

(笑ったところ、初めてみたかも……)
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