【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
読んでいた小説でもそんな記述は一切なかった。
一切笑わない氷の皇帝。それが彼のはずなのに。
「エメリア」
ギルフォードがそっと近づく。
「この子はしかるべきところで育てたほうがいい。村の者に害意はないようだが、妖精の力が使える者を悪用しようとする輩は多い」
「……」
確かにその通りだ。
小説でも、フレンはこの力を狙うものに何度も狙われて攫われた。――そこをヒーローである隣国王太子が助けに来るのがまたいいのだけどそれは置いておく。
「あなたも利用する気では……」
「俺がそんなものに頼ると思うか」
ギルフォードははっきりと断言した。
「……それに、君も護衛もつけずに無防備すぎる」
「護衛って……」
そんなものをつけて農作業をする人はいない。
なにかにつけて堅物なギルフォードに笑うと、彼がエメリアに手を伸ばした。
そっと、手が額にかかっていた髪を払う。
そして彼は少し屈んで、エメリアにささやいた。
「……逃げるなら、閉鎖した上で村を焼く」
「っ」
「帰るぞ」
そう言ってエメリアの腕を掴む彼の目には冷酷な光が宿っていた。すぐに豪奢な馬車が運ばれてきて、その中に押し込められる。
「皇都に戻る」
「はっ」
「へ、陛下、ですが私は」
お世話になった村に挨拶をする間もなく馬車が動き出した。
「安心しろ、荷物は全て持ち帰らせるしなんなら宮殿に同じ小屋を建てても構わない」
「そういう問題ではなく!」
(は、話が、違う……いえ元に戻ろうとしてる? わからない!)
帰りの馬車で、ギルフォードにフレンごと抱きしめられながらエメリアは青ざめた。
こうしてエメリアは冷酷な皇帝の唯一の女性であり、妖精の愛し子の母として王宮に戻ることになった。
エメリアの、原作での死亡時期まであと二年。
――どうやらこの話は、可愛い妻子にメロメロな皇帝が、逃げようとする妻エメリアを囲い込む話に変化したようだ。
一切笑わない氷の皇帝。それが彼のはずなのに。
「エメリア」
ギルフォードがそっと近づく。
「この子はしかるべきところで育てたほうがいい。村の者に害意はないようだが、妖精の力が使える者を悪用しようとする輩は多い」
「……」
確かにその通りだ。
小説でも、フレンはこの力を狙うものに何度も狙われて攫われた。――そこをヒーローである隣国王太子が助けに来るのがまたいいのだけどそれは置いておく。
「あなたも利用する気では……」
「俺がそんなものに頼ると思うか」
ギルフォードははっきりと断言した。
「……それに、君も護衛もつけずに無防備すぎる」
「護衛って……」
そんなものをつけて農作業をする人はいない。
なにかにつけて堅物なギルフォードに笑うと、彼がエメリアに手を伸ばした。
そっと、手が額にかかっていた髪を払う。
そして彼は少し屈んで、エメリアにささやいた。
「……逃げるなら、閉鎖した上で村を焼く」
「っ」
「帰るぞ」
そう言ってエメリアの腕を掴む彼の目には冷酷な光が宿っていた。すぐに豪奢な馬車が運ばれてきて、その中に押し込められる。
「皇都に戻る」
「はっ」
「へ、陛下、ですが私は」
お世話になった村に挨拶をする間もなく馬車が動き出した。
「安心しろ、荷物は全て持ち帰らせるしなんなら宮殿に同じ小屋を建てても構わない」
「そういう問題ではなく!」
(は、話が、違う……いえ元に戻ろうとしてる? わからない!)
帰りの馬車で、ギルフォードにフレンごと抱きしめられながらエメリアは青ざめた。
こうしてエメリアは冷酷な皇帝の唯一の女性であり、妖精の愛し子の母として王宮に戻ることになった。
エメリアの、原作での死亡時期まであと二年。
――どうやらこの話は、可愛い妻子にメロメロな皇帝が、逃げようとする妻エメリアを囲い込む話に変化したようだ。