【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「そうでしょう、フレンの初舞踏会ですもの」
「そうだな」
「……陛下」
「ん?」
「視線が、こちらを見ているようなのですが」

 ギルフォードはフレンではなく、エメリアを見ている。
 穴が開きそうなほどの視線にさらされて、エメリアは自分の格好を見下ろした。

「どこか変でしょうか。やはり日焼けが……?」

 フレンの身支度に時間を使ったので、自分は最小限だ。農作業で筋肉はついたし、細くたおやかで色白の貴婦人からは遠ざかっている自覚はある。

「いや、……綺麗だ」

 同じ言葉を繰り返している。
 こんな感じで皇帝業は大丈夫なのだろうか、そう考えていると彼に腕を差し出された。
 皇帝のエスコート。それは皇妃のみの権利と義務――。

(……ひとまず、原作は置いておこう。作戦を練り直さないと)

 エメリアは息を吐いて、その肘に手を置いた。





 廊下を妖精と一緒に歩いているフレンの姿を見ながら、ギルフォードが言った。

「フレンの結婚相手なのだが」
「早くないですか?」

 思わず突っ込むと、彼は片眉を上げた。

「王位継承第一位の地位を盤石にしておくべきだ。俺や、君になにかあったときに、後ろ盾になってくれる存在が必要だろう」
「……まぁ、そうですね」

 意外とあれこれを考えてくれていたようだ。
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