【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 とはいえ、フレンのお相手は決まっている。一応確認してみた。

「陛下、フレンの相手は王配になるのでしょうか」
「当たり前だろう、他国に嫁に出す気はない」

 きっぱりした声に考え込む。
 確かに生まれる前から家同士のつながりのために許嫁が決められることもある。けれど、とエメリアはそっと目を伏せた。

「できれば……フレンには、愛する人と一緒になってもらいたいです」
「……」

 そこで大広間の前に着いた。
 中からは華やかな音楽と共に「皇帝陛下、皇妃殿下、フレン皇女殿下のおでましです」という侍従の声が聞こえる。
 ゆっくりと扉が開くと、中から眩しい光がこぼれた。
 それに目が慣れれば、見えるのはこちらに礼をとり首を垂れる貴族たちの姿。

 ――帰ってきてしまった。
 欲と陰謀の渦巻く王宮へ。それでもできることをしなければならない。愛するフレンのために。

 エメリアはギルフォードの隣で、最初の一歩を踏み出した。


 会場でもひそひそと声は聞こえるが、あからさまな抗議はない。

(さすがにギルフォードの前では言わないわよね……)

 何せ無理やり連れ戻したのが彼なのだから。
 ……もしかしたら、フレンの周りを警戒するように高速回転している妖精のせいかもしれないが。

(あ)

 そこでエメリアは目を見開いた。
 招待客の中の一人に見覚えがある。――隣国の王太子だ。
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