【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 すでに限界だったのかフレンはエメリアにしがみついて小さな寝息を立てている。

「皇妃殿下、私どもが運びます」
「これくらい大丈夫よ」

 騎士や侍従が言ってくれるが首を振った。
 おんぶしたまま農作業をしてきたのだ。舐めないで欲しい。

 限界いっぱいまで頑張ってくれた娘の頭を、愛おしく撫でる。

(イヴァン殿下とも喧嘩していたしね)

 エメリアは大広間を振り返った。
 使節団として来ているのだからイヴァンも大勢の人と話をしていた。けれどしばらく前から、探しているが姿を見ていなかった。

 背後にある広間からはいまだ賑やかな声と音楽が聞こえている。

 夜更けまで舞踏会は続くだろう。

(このまま、王宮でフレンを育てていいのかしら)

 舞踏会の様子を見るに、ギルフォードはきっとフレンを大事に――彼なりに――してくれる。

 王位継承第一位の地位と、婚約者を決めるというのもその一環だ。
 その上、すでに妖精の愛し子の力が現れている。少なくとも原作のような状況になる可能性は低い。

 それはいいことだが……。 

「あ」

 渡り廊下から見える中庭。そこにある四阿の椅子に小さな影があった。
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