【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 そこに座っていたのはイヴァンだ。少し離れて彼の護衛もいる。
 
(こんなところに……)

 エメリアは、自分についてくれている騎士に待つよう合図をして、フレンを抱いたまま四阿に近づいた。

「……イヴァン殿下?」

 声をかけると小さな影が振り返った。
 そのまま、はっとしたように正装姿のイヴァンが立ち上がる。

「皇妃殿下!」
「……先ほどは失礼いたしました。ご無礼をお許しください。この子にはよく言って聞かせますので」

 フレンを抱いたまま頭を下げると、小さな王太子は慌てた。

「いえ、僕こそ招いていただいている立場で失礼いたしました。お見苦しいところを……」

 発端であるフレンはすやすや眠っている。
 その様子をイヴァンはちらりと見た。

「……王族に生まれた身で、こんなに無邪気に、母に甘えられる姿が羨ましくて……」

 その自嘲するような、苦しそうな表情を前に胸が詰まる。
 だから思わず聞いていた。

「お母様に、甘えられない状況なのですか?」
「……」
「あ、答えにくければそのままで」

 隣国の同盟国とはいえ、王族の内情はあまり話すべきではない。
 失言にあわあわしていると、イヴァンはエメリアを見てふと微笑んだ。

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