【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「失礼します」

 エメリアは、イヴァンの背中に手を回した。

 フレンを左腕、彼を右腕で抱きしめる。
 エメリアの腕の中におさまってしまう子どもたちは温かくて……ここに、確かに存在している。

(原作なんてどうでもいいわ! この二人は私が守る!)

 どうしようなんて悠長に考えていた自分を恥じる。
 こんな寂しそうな子が目の前にいるのに、放っておけるはずがない。

「こ、皇妃殿下!?」
「……難しいことではありません。こうして抱き合って、わがままをいっぱい言ってくれればいいのですよ」
「一国の王太子がわがままなど言えるはずがありません」
「何故です。あなたは王太子である前に、五歳の子どもです」
「っ」
「悪いことをしたらもちろん叱ります。フレンにも、そうしていますから」

 ふふっと笑う。

「……」

 イヴァンは考え込むようにエメリアの腕の中で静かにしていた。

 そしてしばらくして、恐る恐る顔を上げた。

「……お菓子を」
「はい」
「明日、少し食べてもいいでしょうか…………舞踏会にあったものが、とてもおいしそうでした……」

 イヴァンは顔を真っ赤にして身を縮こまらせた。
 それを見てエメリアは言った。

「明日と言わず、今からお菓子パーティをしましょうか!」
「おかし!」

 夢現でその単語が聞こえたのか、腕の中のフレンが飛び起きた。
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