【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「隣国の王太子のことだ」
「ああ、イヴァン殿下――――って、男……!?」

 五歳のいたいけな相手に使う言葉ではない。びっくりしてエメリアの声が裏返った。

 そんなエメリアを見てギルフォードが深く息を吐いた。

「あまつさえベッドで一緒に寝たと聞いた」
「そうですね」

 エメリアは素直にうなずいた。

 その瞬間、ギルフォードの剣が持っているところからバキッと半分に折れた。

「ひえっ」

 素で悲鳴が出る。刃を潰している模造剣とはいえ、鉄であることには変わりないはずだ。

(そうだ、ギルフォードは戦も自分で出てた武闘派だった!)

 妖精がいるこの世界にはもちろん魔法もある。


 火や水を出したり草を生やしたりは訓練を積んだ素質のある者にしかできないが、精神や肉体を洗練すれば普通の肉体の数倍の力を瞬間的に出せたりするのだ。

 それで彼は、幾度も兄弟の反乱や魔獣の襲撃を退けてきた経歴を持つ。


 折れた剣をその場に落として、ギルフォードがエメリアに一歩近づいた。

「護衛の目があるとはいえ、そもそも男を夜に部屋に招くなど……うらやま、いやそれならそれで俺を呼ぶべきだろう」
「え、ええ……近い。近いです陛下」
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