【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして

 至近距離でねちねちと嫌味を言われる。
 剣を折ったときの気迫のままのため、非常に暑苦しい上に圧が強い。

「使節団には許可はいただいています、が?」
「そういう問題ではない」

 そのあともひたすら文句を言われる。

 皇妃が軽々しく臣下に笑顔を向けるものではないとか、隙が多いとかいろいろ。

(本当に不貞騒ぎになると思っているのかしら……)

 表情にあまり変化のないギルフォードの内心はよくわからない。

「……聞いているのか」
「はい、もちろん聞いています! 心配をかけて申し訳ありません」

 右から左に流していたのを誤魔化すように頬に手を当てて微笑めば、ギルフォードが口をつぐんだ。
 そこで初めて、彼の目に心配そうな色が浮かんだ。

「……同盟国の王太子に何かあれば、責任を追及されるのは君だ」

 なるほど。それを心配していたのか。

(初めからそう言えばいいのに、回りくどい)

 そんなことを心の中だけで呟いたはずが、再び睨まれて表情を取りつくろう。

「皇妃としての自覚をもつように」
「もちろんです、承知しました」

 威厳をもって頷く。
 ギルフォードが言葉を続けた。

「もうイヴァン殿下を部屋に入れてはいけない」
「それは困ります」

 何を考える前に、自然と返していた。

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