【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
「……失礼します」
そこにイヴァンがやってきた。
視察が終わる時間を見計らって、お茶の時間に呼んだのだ。エメリアは立ち上がって彼を迎えた。
「よかったら、クッキーをつくったのでどうぞ」
「! もしかして例の」
「ええ。気合が入って、少し固いですが……」
「これが……皇妃殿下のクッキー……」
お皿に積まれたクッキーを前に、イヴァンが呆然と呟いた。
その彼の肩に、大きな手が置かれた。
ギルフォードだ。
珍しく少し息を切らした彼を見て、エメリアは首を傾げた。
「散歩ですか?」
「……ああ」
(昼間に執務室を出るなんて珍しい)
侍従がすぐに椅子を持ってきたので、四人で一つのテーブルを囲む形になる。
「……」
真ん中にでんと置かれた山盛りのクッキーを、ギルフォードがひとつ取った。
「陛下、甘いものはお嫌いでは……」
エメリアが止まる間もなく、さくりと食べてしまう。
(まぁいいか)
たくさんつくったので、食べてもらえるとありがたい。
折角なので、エメリアはそっと隣の席のギルフォードに話しかけた。
「少しいいですか」
話をするにはいい機会だ。朝はそれどころではなかったし。
「……村の方には、本当に何もしていませんよね」
エメリアの言葉に、もうひとつクッキーを持ったギルフォードの眉が持ち上がる。
「ああ。次にまた逃げたらどうするかわからないが」
(またそんな言い方を)
王宮から逃げた後にかくまってくれた村は、王都から遠い。
護衛がいつも付いていて、城から出るにはギルフォードの許可がいる今のエメリアには、確かめる術がない。
その後は会話はなく、誰も話さないまま黙々とクッキーを食べる時間が過ぎた。
「……あ、あの」
しばらくして口火を切ったのは、イヴァンだった。
彼はギルフォードを見上げた。
「陛下、もしお時間あれば、剣を教えていただきたいのですが……!」
そこにイヴァンがやってきた。
視察が終わる時間を見計らって、お茶の時間に呼んだのだ。エメリアは立ち上がって彼を迎えた。
「よかったら、クッキーをつくったのでどうぞ」
「! もしかして例の」
「ええ。気合が入って、少し固いですが……」
「これが……皇妃殿下のクッキー……」
お皿に積まれたクッキーを前に、イヴァンが呆然と呟いた。
その彼の肩に、大きな手が置かれた。
ギルフォードだ。
珍しく少し息を切らした彼を見て、エメリアは首を傾げた。
「散歩ですか?」
「……ああ」
(昼間に執務室を出るなんて珍しい)
侍従がすぐに椅子を持ってきたので、四人で一つのテーブルを囲む形になる。
「……」
真ん中にでんと置かれた山盛りのクッキーを、ギルフォードがひとつ取った。
「陛下、甘いものはお嫌いでは……」
エメリアが止まる間もなく、さくりと食べてしまう。
(まぁいいか)
たくさんつくったので、食べてもらえるとありがたい。
折角なので、エメリアはそっと隣の席のギルフォードに話しかけた。
「少しいいですか」
話をするにはいい機会だ。朝はそれどころではなかったし。
「……村の方には、本当に何もしていませんよね」
エメリアの言葉に、もうひとつクッキーを持ったギルフォードの眉が持ち上がる。
「ああ。次にまた逃げたらどうするかわからないが」
(またそんな言い方を)
王宮から逃げた後にかくまってくれた村は、王都から遠い。
護衛がいつも付いていて、城から出るにはギルフォードの許可がいる今のエメリアには、確かめる術がない。
その後は会話はなく、誰も話さないまま黙々とクッキーを食べる時間が過ぎた。
「……あ、あの」
しばらくして口火を切ったのは、イヴァンだった。
彼はギルフォードを見上げた。
「陛下、もしお時間あれば、剣を教えていただきたいのですが……!」