【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 子どもたちは互いに対抗意識を燃やしている。

 そしてフレンに初めて「おとうさま」と呼ばれたギルフォードは――戸惑う表情で固まっていた。


 動き出したのはしばらくしてからだ。
 
「…… ――――わかった」

 ギルフォードは口の端を持ち上げて、嬉しそうに言う。

 だがそれは微笑みでなく、強者の余裕だ。

「子どもだからといって手加減はしないぞ」
「はい、陛下」
「もちろんです」

 フレンはあくまで真剣な表情でギルフォードを見ている。

(必要な手加減は、してほしいような……)

 しかしやる気満々な三人を前に、それを言うのは野暮と思って黙る。

 さすがにギルフォードも相手が三歳と五歳というのはわかっている、はずだ。



「皇女様、勉強のお時間です」
「はい! おかあさま、またあとで」
「ええ」

 フレンが次の授業に向かうのを見送る。イヴァンも使節団の者に呼ばれて行ってしまった。

 そうして、エメリアは中庭のテーブルにギルフォードと二人で残された。

(気まずい!)

 けれど、フレンが去っていった方向を見るギルフォードはいつもの威圧感はない。

 珍しくやわらかな表情をしている。だからエメリアもすぐにその場を立ち去る気になれなかった。

(どうも調子が狂うわ)

 すでにクッキーは空だ。
 エメリアは自分の手元を見て、お茶を飲み干した。

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