【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 とはいえまだ眠くて目が開けられない。
 そこでそっと髪に触れる手を感じる。

 ぼんやりと目を開けると、エメリアの近くに誰かが座っていた。

 夜はまだ深い。明かりを消した部屋は暗すぎて、人影らしきものがわずかに見えるだけだ。

(フレン? イヴァン殿下……?)

 この時間に寝室にいるのは二人しかいない。夜中に起きてしまったのだろうか。

 しかし「おなかがすいた」や「トイレ」の要求はないので、エメリアはかけている布団を持ち上げた。

「はい、どうぞ…….」

 影がみじろぎして、ベッドが揺れた。

「早く、……寒いでしょう……?」

 しゃべるのもおっくうだ。目を閉じてほとんど夢うつつで声をかけると、ようやくその人物が動いた。

 ベッドに入った相手を、エメリアは抱きしめた。

(かたい……?)

 いつもの二人のようなやわらかさがないし、なんだか腕に入りきらない。
 それにどれくらい布団から出ていたのかひやりとしている。

 不思議に思いつつもう少し腕に力を入れたところで、また眠ってしまった。
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